災害時の高齢者や障がい者の避難について~別府市の取り組み
ブログにご訪問いただきありがとうございます☆
九州地方の雨がひどくなり、災害級の雨が降る恐れがあると報道されています。
災害時の避難について各地での取り組みを調べている中で、別府市の取り組みがとても心に残りました。
過去の震災を教訓に、新たな取り組みをされている事例を紹介することで、何かお役に立てればと思っています。
【伝えたいこと3つ】
① 障がい者自らが動いて「災害時障がい者安心ネットワーク」を立ち上げた。
② 「福祉」「防災」など垣根を越えて情報を共有することで、被害を防ぐ取り組みへ
③ 普段からの地域との関係を深めておくことで犠牲者を出さない仕組みづくり
① 障がい者自らが動いて「災害時障がい者安心ネットワーク」を立ち上げた。
2019年1月19日に「災害時障がい者安心ネットワーク」(安心ネット)が設立されました。これは別府市の障がい者や福祉団体などでつくる「福祉フォーラムin別杵速見実行委員会」が中心となって設立されたものです。
熊本大分の震災後に聞き取り調査をした結果、
1.災害時の安否確認、
2.行政情報の共有、
3.避難支援のための普段からの近所づきあい
など、様々な課題が浮上してきました。
課題を解決するためには、個人や個々の団体だけでは対応が難しい。垣根を超えた一つのネットワークが必要という認識が、「安心ネット」設立へと繋がりました。
災害対応を見据えた、障がい者ネットワークは県内初で、全国的にも珍しい取り組みだそうです。
「安心ネット」では、災害時速やかに障がい者の安否情報を入手するとともに、避難情報などを発信できるよう、普段からの連携強化を図っています。
障がい者自身で作られたネットワークは、当事者でなくてはわからない点に目が向けられているところが、優れていると思います。
② 「福祉」「防災」など垣根を越え、情報を共有することで、被害を防ぐ取り組みへ
別府市では避難計画を作る際、福祉のプロを巻き込んで個別の計画を作る取り組みをしています。
高齢者の日常のケアプランを作る「ケアマネージャー」、障がい者のサービス利用計画を作る「相談支援員」に、日常のケアだけでなく災害時の計画も作ってもらうのです(別報酬)。
介護や支援の現場で、当事者の情報を持っているプロが、一人一人の状況を考え、ご家族とも心配事を確認しながら、個別の避難計画を作成します。
一人一人の体力や、障がいの状態を知っている方だからこそ、その人にとって無理のない避難計画が作れるし効率的だからです。(防災推進専門員 村野淳子さん談(コミュニティソーシャルワーカー))
「福祉」「防災」といった垣根を越えて連携することで情報が共有され、よりよい支援ができます。
③ 普段からの地域との関係を深めておくことで、犠牲者を出さない仕組みをつくる
避難計画ができたら、今度は地域の人の意見を聞く会議を開きます。
自治会や自主防災組織の人など、災害時支援する立場の方々です。
コミュニティソーシャルワーカーの村野さんが、支援者や計画策定者と地域の人とのパイプ役になり、さらに避難計画を具体的に練り上げていき、実際に避難訓練を行います。
「実際に、訓練することによって多くの人に知ってもらって、あの方はこういうふうに支援したらいいんだな、というのを知っておいてもらえる。みんなで考えていくという、人であったり地域を作っていくのが大事だと思います」(村野さん談)
地域の人に知ってもらう、互いにかかわりを持つことで「他人事」ではない、「身近な人のこと」という意識が芽生えます。
「安心ネット」を紹介した記事の中に「一人の犠牲者も見逃さないための第一歩…」との言葉がありました。
「見逃さない」 これがポイントだと思いました。
高齢者や障がい者の存在が見過ごされ、忘れられないために、日ごろから地域の人とのかかわりを持つことがとても大事です。
別府市の地域福祉計画のパンフレット表紙に、「自分らしく過ごせる ぬくもりと支えあいのまち 別府」とあります。
一人一人が自分らしく生活するため、お互いに支えあう、この言葉を私はとてもすてきだと思いました。
この取り組みが一つのモデルケースとして、他の地域にも広がるといいなと思います。
最後に、この大雨で被害が出ませんよう心からお祈りしています。
最後までお読みいただきありがとうございました。