行政書士事務所 ほりうち

福岡市で行政書士をしています。 

高齢者、認知症の物忘れ、被害妄想について2(対策編)

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ブログにご訪問いただきありがとうございます☆

 

前回は物忘れ、被害妄想について、

①物忘れが起きやすいケースと忘れないケース、

②被害妄想の種類、

③標的は身近な人、その理由 についてお話してきました。

 

今回は、物忘れや被害妄想が起きた時の対処方法についてお話ししたいと思います。

正直、誰にでも当てはまる最適解というものはないだろうと思います。けれども知識を共有することで、すこしでも不安やきつさが解消できればと思います。

 

伝えたいこと

① 物忘れ、また被害妄想という現象が「起きるものだ」と、予め心にとめておく
② 被害妄想などが起こる背景―高齢者の不安、喪失感を知り対処する
③ 頭から否定せず、なるべく穏やかに
④ 症状がひどい場合は、医療機関公的支援を受ける
以上の4点についてお話しします。

 

① 物忘れ、また被害妄想という現象が「起きるものだ」と予め心にとめておく→覚悟

前回お話ししたように、被害妄想の標的になりやすいのは身近に接している家族です。疑われたときは、非常に悲しくショックを受けることでしょう。

 

けれどもそれは意地悪で言っているのではなく、「認知症」という病気が引き起こすものなのです(物忘れについても同様です)。

 

「そういうことが起きるのだな」と予め知り、少し覚悟しておきましょう。
被害妄想の標的にされたとき「これは病気の症状だ」と知っていると、「なんで自分が!」とショックを受けることが少なく済むと思います。

 

あなたが感情的になるほど、相手も余計に激高してしまいます。
「あぁこれは病気の症状だな」と少し落ち着いて受け止めることが大切だと思います。

 

② 被害妄想などが起こる背景―高齢者の不安、孤独感を知り対処する

被害妄想が起こる背景は何でしょうか?
そこには「大切なものを失う」ことによる恐怖感があるといわれています。

 

内閣府による高齢者の意識調査(平成26年度発表)によると、昔より今の方が、不安を感じる高齢者が増加しています。実に70%を超える方が、様々なことに不安を抱いています。

 

・健康や病気への不安67.6% 

・寝たきりや介護が必要になることへの不安59.9%
・生活のための収入に対する不安33.7% 

・子供や孫の将来28.5% 

・一人きりになることの不安23.1% 

・社会の仕組みが大きく変わることへの不安21.6%  等々です(複数回答)

 

また、自分が社会から取り残されている孤独感がとても大きいといわれています。昨年末米国の調査では実に4人に3人が孤独感を抱いていると発表されました。

 

この不安や孤独感が、人を信じられなくなり被害妄想を引き起こす一つの原因なのだそうです。

 

不安を少なくし、孤独を和らげるためにできること

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・日頃からこまめに挨拶をして、コミュニケーションをとる
・簡単なお手伝いを頼んだりして「ありがとう」と感謝を伝える
・なるべく笑顔で接する

 

③ 頭から否定せず、なるべく穏やかに

「財布がない。お前が盗っただろう!」と疑われたとき、「そんなことするわけないじゃないですか!」と怒って否定すると、事態がますますこじれます。

 

そんなときは「そうですか、ないんですか」「探してみましょうか?」といったんは言い分を受け入れて、一緒に探してみましょう。

 

そして財布を見つけた時は、本人が見つけることができるように上手に誘導しましょう。(他人が見つけると「盗って隠していたのを出してきた」と、また疑われることがあるので)

 

また日ごろから物の定位置を決めておいて、いつも同じ場所に置く習慣を早くからつけておくと、少しは物の紛失が減るかと思います。

 

④ 症状がひどい場合は、医療機関公的支援を受ける

被害妄想などがひどい場合、家族だけで対処することには限界があります。
症状が進んでいる、と感じられたときは早めに病院を受診することをお勧めします。

 

しかし親に「もの忘れ外来」や「精神科」に行こう、というのはなかなかハードルが高いものです(経験者)。本人は「認知症」という病識がないので厄介です。

 

ある本には「うそも方便」で、主治医の先生にあらかじめ相談して診察の際、「健康診断のついでに脳の検査もしましょう」と言ってもらう、などの対策がアドバイスされていました。

 

逆にストレートに言った方がいい人もいるので、そこはその人にあった方法(作戦)を考えましょう。くれぐれも「けんか腰」だけは避けましょう!

 

病院を受診することに加え、地域包括支援センター「保健所」などに相談することをお勧めします。

 

どこに電話したらいいかわからないときは、とりあえず役所に電話して「認知症の親のことで相談したい」「介護のことで相談したい」と尋ねてみてください。連絡先を教えてくれるはずです。

 

また、悩みなどを聴いてほしいことがあると思います。
そういう時は、認知症の人の家族会などに電話してみることをおすすめします。

 

公益社団法人 認知症の人と家族の会】
電話相談 : 0120-294-456(全国通話無料)
対応時間 : 10:00~15:00(土日祝日を除く毎日)
http://www.alzheimer.or.jp


こちらのサイトは認知症のことについてや家族の対応、全国の「もの忘れ外来」の案内など、とても参考になります。

 

いかがでしたか?
「これが最適解」というものは、正直ないように思います。けれども、知識を持つことでお互いが少しでも穏やかに過ごせたら、と願います。

 

最後に

上の資料にもありますが、高齢者の不安の4位は「子供や孫の将来について」なのです。


どんなに高齢になっても、また物忘れするようになっても、親はいつまでも親。
私たち子供の心配をしてくれているのです。

 

変わっていく親を見ていると、それに追われて大切なことを忘れてしまいそうになります。

そんなとき、「そうか親はずっと私のこと思ってくれているんだ」と思い起こすことは、自分自身の心を救ってくれる気がします。

 

親のことで悩んでいる人が、少しでも気持ちが穏やかになれたらと願っています。

 

今日も長い文章を最後までお読みいただきありがとうございました♪
またお会いしましょう。