行政書士事務所 ほりうち

福岡市で行政書士をしています。 

高齢者、認知症の物忘れ、被害妄想について1(知識編)

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ブログにご訪問いただきありがとうございます☆

 

高齢、特に認知症になると物忘れが激しくなる、同じ話を何度も繰り返すようになります。また「ものを取られた」等の被害妄想が出やすくなることは、あなたもよくご存じだと思います。

 

今日は


①物忘れが起きやすいのはどんな時か
②逆に忘れにくいのはどんなことか
③どんな被害妄想があるか
④標的は身近な人、その理由

 

についてまとめてみました。

*「老人の取扱説明書」「認知症の取扱説明書」(平松類著)、および「笑顔の認知症」(音成龍司著)を参考にしました。

 

高齢者(認知症含)は、すべての記憶がなくなってしまうのではない

私たちは、高齢になるにつれてなんでも忘れてしまうと考えがちです。
けれどもそれは違います。実は忘れやすい記憶と、いつまでも覚えている記憶とがあるのです。
それを分けるのが「時」です。

 

最近の記憶(短期的記憶)は忘れやすい。昔の記憶(長期的記憶)は残りやすい。

 

「お父さんはいつも昔の話ばかりする」といった経験はありませんか?
昔のことは覚えているのに、今話したことはもう忘れている…。そういうことはよくあります。


①物忘れが起きやすいのはどんな時か

超短期(数秒前)の記憶 → 消えにくい
短期(数時間前~数日前)の記憶 → 忘れやすい
長期(数年前~過去)の記憶 → 消えにくい

この短期の記憶がスポッと抜けてしまうのです。


「お母さん明日は病院行こうね」「明日は病院ね」と、その場では繰り返して言うことができますが、しばらくすると「明日は病院」ということは忘れてしまいます。

 

それで家族は「さっきいったでしょう!」と怒ってしまいがちなのですね。
しかし、そこに注意しなければならないことがあります。

 

②忘れにくいのはどんなことか

過去の記憶は嫌なことは消えて、いいことが残りやすい。
逆に最近のことは嫌なことが残りやすい。

以前にも書きましたが、家族が「また忘れてる!」と怒ると、ご本人は「なんだかわからないけれどあの子が怒った」とインプットされてしまうのです。(自分が忘れたから、という原因は忘れている可能性が大です)

 

そしてその感情的なしこりが、「被害妄想」となって表れてくるのです。

 

③どんな被害妄想があるか

認知症による被害妄想には「もの盗られ妄想」と「嫉妬妄想」がある

「私の財布が盗られた」と騒ぐ、ということはよく聞く話だと思います。
私の親も施設に入所後、「○○を盗られた」「泥棒がいる」などと言うことが度々ありました。

 

「そんなことないでしょう」と否定すると逆上しそうで「あぁそう…、困ったねぇ」「話を聞いてみるね」と話を合わせるしかなかったことを覚えています。


今振り返ってみて、話を聞くだけでもなかなかきつかったなぁと思います。

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④被害妄想  標的は身近な人、その理由

うちの場合は、施設に入所後に被害妄想が出だしたので、施設の方々が標的になってしまいました。

けれども多くの場合、身近でいつも献身的にお世話をしている方が「犯人」とされてしまうことが多いのです。

 

一生懸命介護をしているのに、「お前が盗った!」と言われてはやりきれないですね。
また、お連れ合いに「お前は浮気をしているだろう」と、あらぬ疑い(嫉妬妄想)をかけることも耳にしました。

 

なぜ身近な人間が標的になるのか?


それは、さっきお話ししたように身近な人間ほど「また忘れて!」等と怒ってしまうからです。そして感情の記憶は残りやすいのです。

 

言われた本人は「あいつはいつも自分を怒る」といった、感情的な恨みだけが残ってしまい、身近な人間を疑いやすくなるのだそうです(お世話してくれていることは、あまり覚えていない可能性があります)。

 

介護者には大きなストレスが心身ともにかかる→34~44%が鬱傾向になるとの報告あり

身近で介護をしている人は、ただでさえお世話で大きな負担がかかっています。
疲れがたまり余裕がなくなると、イライラしてしまうことも無理のないことです。

 

その上、介護をしている相手から「物を盗った」などと疑われては、大きなダメージを受けてしまいます。
介護者の34~44%が鬱傾向というのは、見過ごせない大きな数字ではないでしょうか?

 

これでは、介護する側・される側双方にとって良い結果にならないような気がします。

それではどうすればお互いの負担が軽くなるのか?

 

続けて書くと少し長くなりそうなので、今回はいったんここで終わりにします。
なんだか重い話で終わって心苦しいのですが。

 

最近、「ダブルケア」(介護と育児両方を同時にすること)や、

「ワンオペ」(→ワンオペレーション。一人で家事や育児、介護など(+仕事)を行うこと)が問題となっています。

 

介護においても、一人だけが介護者であることは、その人に物凄い負担がのしかかってくる現実がある、ということは是非忘れないようにしたいと思います。

 

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
またお会いしましょう♪