福岡市で障がい者グループホーム(共同生活援助)を開設するために⑥
福岡市の行政書士ほりうちです。
ブログにご訪問いただきありがとうございます。
今日は「共同生活援助サービス」における収入(報酬額)の計算についてお話をします。
収入について
「共同生活援助サービス」の収入の柱は以下の3つです。
1.「国保連」* より受け取る、利用者に行ったサービスの利用料(給付金)。
2.要件を満たせば請求できる「加算」
3.家賃や水道光熱費、食材費の「実費」 → 利用者に請求
国民健康保険法第83条に基づき設立された公法人で、各都道府県にあります。)
上記の通り収入の大半は国保連からの給付金です。
請求手続き等をきちんと行っていれば、未収を起こすリスクは少ないです。
利用者の人数が確定すれば、安定した収入が見込めます。これは共同生活援助サービス事業を運営していくうえでの強みといえるでしょう。
【給付金を計算する】
(要点)
1.行ったサービス・利用者の障がい区分・職員の人員配置で単位数が決まる
2.地域ごとに1単位の単価が異なる
3.1×2=一日のサービス費 ×利用日数→1カ月の給付金
1について
・共同生活援助の場合、「介護サービス包括型」「外部サービス利用型」「日中サービス支援型」「サテライト型」といった、そのサービスにより報酬の単価が変わります。
・利用者の障がい区分が1~6のいずれに該当するかで、単価が変わります。(区分の数字が大きいほど、支援の必要度が高い)
・世話人の配置は、「包括型」が6:1(6人に対して1人の世話人)、「日中支援型」は5:1 が基本単位です。
しかしこの世話人を4:1というように、手厚く配置した場合は報酬単価が高くなります。
2について
事業所の地域によって、"1級地~7級地" 及び "その他" の8つに区分けされます。
1級地が一番単価が高くなります。
福岡市は5級地で、共同生活援助の1単位の単価は10.8円です。(「その他」の地域は10円)
3について
「報酬単位 × 報酬 1単位単価」で【一日のサービス費】がわかります。
これにサービスを利用した日数をかけることで、利用者一人の1カ月のサービス費が求められます。
共同生活援助の場合、基本的には一か月通しての利用が見込まれます。
ただし帰省や入院等で不在の期間は算定されませんので、注意が必要です。
(計算例)
「介護サービス包括型」 *世話人を4:1で配置した場合
障がい区分2の場合
294単位×10.8円×30日 = 95,256円(一か月のサービス費)
障がい区分3の場合
384単位×10.8円×30日 = 124,416円
障がい区分4の場合
470単位×10.8円×30日 = 152,280円
上記の金額×人数が一か月の基本的なサービス費の目安です。
*共同生活援助サービス事業の場合、一事業所あたり最低定員は4人です。
【加算について】
「加算」とは、共同生活援助のサービスで+αの支援を行った際、1のサービス費に加えて請求できるものです(届け出が必要)。
種類は17種類ほどありますが、そのうちいくつかご紹介します。
「夜間支援体制」Ⅰ~Ⅲ
共同生活援助(障がい者グループホーム)は、利用者が主に夕方~夜を過ごす施設です。
その夜間の生活を安心して送れるよう、支援体制をとった場合は加算が請求できます。
・Ⅰ → 「夜勤」を行う夜間支援従事者を配置。夜間~深夜に必要な介護等の支援を提供する。―利用者の人数によって 54~672単位 / 日 加算
・Ⅱ → 「宿直」を行う夜間支援従事者を配置。定期的な居室の巡回(見回り)や緊急時の支援を提供する。―利用者の人数によって 18~112単位 / 日 加算
・Ⅲ → 病状の急変、その他緊急事態に対応できるよう、常時の連絡体制や防災体制の確保。(警備会社と契約など)―利用者の人数にかかわらず 10単位/日 加算
「福祉専門職員配置等加算」Ⅰ~Ⅲ
Ⅰ・Ⅱ―常勤の世話人又は生活支援員のうち、社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士又は公認心理士の資格保有者が雇用されている場合に請求できる加算です。
・Ⅰ → 35%以上雇用 ― 10単位 / 日 加算
・Ⅱ → 25%以上雇用 ― 7単位 / 日 加算
・Ⅲ → 世話人又は生活支援員のうち、常勤職員が75%以上又は勤続3年以上の常勤職員が30%以上 ― 4単位 / 日 加算
「視覚・聴覚言語障害者支援体制加算」
視覚・聴覚・言語機能に障がいのある利用者が一定数以上で、意思疎通に関して専門性を有する職員を一定数以上配置した場合 ― 41単位 / 日 加算
そのほかにも「医療連携体制加算」・「看護職員配置加算」・「重度障害者支援加算」・「日中支援加算」等や、自立生活や地域生活移行への支援に対する加算、入院や帰宅に関する支援の加算等があります。
特に「夜間支援等体制加算」は、「共同生活援助」サービスの性質からも、加算がとれる人員の確保と配置をおすすめします。
【家賃や水道光熱費、食材費等について】
共同生活援助においては、家賃や水道光熱費、食材等の費用を、利用者が事業所に支払います。
但し、この家賃等で収益を上げることはできません。あくまでも実費相当額ですので、ご注意ください。
*なお家賃は、届け出をすれば利用者様一人当たり1万円まで行政の補助がでます。(収入等の要件があります)
【収入の計算例】
1の給付費の計算に加算や家賃等を加えた収入を計算してみます。
*夜間支援体制Ⅰ+家賃光熱費等6万円、人数6名のケース
「介護サービス包括型」 *世話人を4:1で配置した場合
障がい区分2の場合
(294単位+224単位)×10.8円×30日= 167,832円(給付費)
167,832円+60,000円(家賃等)= 227,832円
227,832円×6名 = 1,366,992円
障がい区分3の場合
(384単位+224単位)×10.8円×30日 = 196,992円(給付費)
196,992円+60,000円(家賃等)= 256,992円
256,992円×6名 = 1,541,952円
障がい区分4の場合
(470単位+224単位)×10.8円×30日 = 224,856円(給付費)
224,856円+60,000円(家賃等)= 284,856円
284,856円×6名 = 1,709,136円
このように計算していくと、一か月のおよその収入が見込めます(あくまでざっくりとした計算です)。
実際に収支計画を作成する際は、もう少し綿密に計画を立てる必要があります。
次回支出の計算についてお話しします。
必要な費用を計算したあと、再度収入について見直して事業計画を固めていくことが大切です。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
行政書士事務所 ほりうち(代表:堀内由紀)
連絡先:092-775-0658
yushalom0510☆gmail.com(☆を@に変えて送信ください)
<参考資料>
・障害者総合支援法事業者ハンドブック2019年版 中央法規
・障がい福祉事業の開業・手続き・運営のしかた 伊藤誠 アニモ出版
・福祉ソフト:共同生活援助報酬額一覧表
https://www.fukushisoft.co.jp/wp-content/uploads/seikyu-siryo/r01/etc/r01_etc_gh.pdf
・障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省令告示第523号)
・障碍者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(平成18年障発第1031001号)
*福岡市で障がい者グループホーム(共同生活援助)の開設をお考えの方、障がい者グループホーム(共同生活援助)の運営(特に実地指導)に際しお困りの方は、ほりうちまでご連絡ください。
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