福岡市でグループホーム(共同生活援助)を開設するために③
設備基準について
福岡市の行政書士ほりうちです。
ブログにご訪問いただきありがとうございます。
グループホームを開設するにあたり、「障がい福祉サービス事業者等」として「指定」を受けなければなりません。
今日は「共同生活援助サービス」について、福岡市で定められた【設備の基準】についてお話をします。
設置場所
・住宅地又は住宅地と同程度に、利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域であり、かつ入所施設や病院の敷地外にあること*
*共同生活援助サービスは、利用者に対して家庭的な雰囲気の下、指定共同生活援助を提供するとともに、地域との交流を図ることにより社会との連帯を確保することが目的です。
そのため、施設や病院の敷地外に設置することとされています。
・サテライト型住居の場合―基幹となる共同生活住居(本体住居)から、利用者が通常の交通手段を用いて概ね20分以内で移動可能な距離にあること(福岡市の基準です)
定員
最低定員:指定事業所は1以上の「共同生活住居」* を有し(=複数可)、合計で最低4人以上
*共同生活住居=複数の居室+居間・食堂・トイレ・浴室などを共有する1つの建物
1共同生活住居あたりの定員
新規に設置 2~10人まで
既存の建物を利用する場合 2~20人(市長が特に必要があると認めるときは30人)まで
ユニット * の定員:2~10人まで
*ユニット 各自の居室及び居室に近接して設けられる相互に交流を図ることができる設備により一体的に構成される生活単位のこと(例:5LDK=居室5+交流できるLDK= 一ユニットと考えるとわかりやすいです)。
一つの共同生活住居内に複数のユニットの設置可能です(5人×2=10人等)。
居室の定員:1人(夫婦での入居など、必要と認められた場合は2人も可)
居室の広さや設備について
面積:7.43㎡(収納設備を除いて)以上。和室の場合4.5畳以上。
居室とは廊下、居間等につながる出入口があり、他の居室とは明確に区別されているもの。
→カーテンや簡易パネル等で室内を区分しただけと認められるものは含まれない。
居室の他、日常生活を営む上で必要な設備(食堂、居間、台所、便所、洗面設備、浴室等)をユニットごとに設けること。
※【サテライト型住居】 他との違い
一人暮らしに近い形態です。(利用者は単身等での生活が可能と認められる者が基本)
そのため住居ごとに、居室の他に日常生活を営む上で必要な設備を設けることとされています(居室の広さなどは同じ要件)。
またサテライト型住居の場合、利用者から適切に通報を受けることができるよう、通信機器の設置が必要です。(携帯電話でも可)
建築基準法、消防法との適合
障がい者グループホーム(共同生活援助)は、建築基準法上【下宿・寄宿舎】という特殊建築物に分類されます。
そのため、グループホーム(共同生活援助)としての設備要件の他に、建物が「建築基準法」や「消防法」上の要件を満たしているかチェックしなければなりません。
申請の際に
・「建築基準法等の主な確認項目【下宿・寄宿舎】」及び「報告書」又は「誓約書」*
・「防火対象物使用開始届出書」又は「査察指導結果通知書」(消防署受理印必要)の写し
・「障がい福祉サービス事業所等の申請等に係る消防署確認様式」(消防署確認印必要)*
などの提出が求められます。
*は、障がい福祉課との協議の際交付されます。
事前協議の前に行われる、事前相談の段階でくわしく確認することが大事です。
「建築基準法の一部を改正する法律」の施行により変わったこと
①戸建て住宅等(延べ床面積200㎡未満かつ階数3以下)を福祉施設等とする場合、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に、「耐火建築物等」とすることが不要になりました。
②戸建て住宅等から福祉施設等他用途に変更の際、建築確認手続きが必要ですが、今回の法律によってその手続き不要の上限が100㎡→200㎡へと緩和されました。
上記要件の緩和により、既存の建物をグループホーム(共同生活援助)として利用しやすくなりました。
しかし、耐火構造とする改修は不要でも、警報装置の設置・階段等の安全措置・非常用照明の設置等は必須です。
*福岡市では共同生活住居の設置に関する補助金があります。(設置費補助金)
備品購入費 上限40万円 (サテライト型住居はなし)
敷金・礼金等 上限30万円(サテライト型住居15万円)
家賃 上限10万円(サテライト型住居3万円)
改修費・消防用設備 上限100万円(サテライト型住居5万円)
補助金合計の上限額 150万円 (サテライト型住居20万円)
*重度障がい者が入居する場合の上限額は300万円
設備要件をチェックする際、ぜひ補助金の申請もご検討ください。
(その場合、必ず事前に障がい福祉課にご相談ください)
設備要件は、「共同住居」としての要件(障害者総合支援法)と同時に、「建築物」としての要件(建築基準法・消防法等)の両方の基準があるので、慎重なチェックが必要です。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回運営基準についてお話しします。
行政書士事務所ほりうち (代表:堀内由紀)
連絡先: 092-775-0658
yushalom0510☆gmail.com(☆を@に変えて送信ください)
<参考資料>
・福岡市指定障がい福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準等を定める条例 平成24年12月27日 条例第57号
・障害者総合支援法事業者ハンドブック2019年版 中央法規
・障がい福祉事業の開業・手続き・運営のしかた 伊藤誠 アニモ出版
・建築基準法の一部を改正する法律案改正概要
http://www.mlit.go.jp/common/001242723.pdf
・福岡市保健福祉局障がい者部障がい福祉課
https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/shisetsushien/shisei/GHkaisetuouen.html
*福岡市で障がい者グループホーム(共同生活援助)の開設をお考えの方、障がい者グループホーム(共同生活援助)の運営(特に実地指導)に際しお困りの方はぜひご相談ください。
tel 092-775-0658
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